浦田 威氏がアルバム『NOW』のレビューを書いてくれました。ぜひご一読を。ウラちゃんありがとうございます!!
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『NOW / 韻踏合組合』
国内ヒップホップ・シーン勢力地図の中でも要注目のレッド・ゾーン、一際アクの強いMCたちがまるで危険なCRITICAL 11のように今にも暴発寸前、夜な夜なマイク片手に鎬を削る水の都、大阪。
サバンナのジャンガルさながら、そうした獰猛な猛獣たちによる生き馬の目を抜くようなハードな生存競争を経て、淘汰され過去の都市伝説と化した面々は数知れず。
そんな中にあって15年近くもの長きに渡り、ライヴ、製作、スキル、あらゆる面でアップ・デートを繰り返し、シーンの最前線=ヘッズたちのSUPER STARとして君臨し続けるモンスター・クルー、それが韻踏合組合だ。
そんな彼らの今=「NOW」を詰め込んだ本作は、前振りなのにシングル級の破壊力、イントロの常識を覆す「Intro」で幕を開け、稀代の巨人、故MAKI THE MAGICの言霊が宿った揃い踏みチューン「百戦錬磨」、同じくポッセ・カットのお手本のようなマイク・リレーが堪能できる「一網打尽」のような90'Sマナーを踏まえたハードコアな楽曲から、
パーソナルな嗜好を巧みな比喩を交えてテクニカルにライムする「天下一品」、「キャバクラ『Duba』」、そして大阪名物、裏庭ヒップホップ・シーンに敬意を込めて歴史を更新する「Japanese Ni%#@」、ありそうでなかった二人の邂逅、渾身のユルさで不思議な中毒性を醸し出す最新のTRASH TALK、「ですわな」、自らの看板イベント「ENTER」、すなわち大阪シーンに充満する熱気を次世代実力派MCたちと共にダイレクトに伝える「Enter Da Stage 」まで、極限まで延びきった棘の先端を摘み取ったが如く、バラエティに富んだ全16曲。
これら尖った楽曲群は、熟練の王者たちが「VOL.0」からストイックに積み重ね、あの頃となんら変わらぬ初期衝動と、溢れるクリエイティヴィティを最大の武器としてここまで来れたことをあなたに教えてくれるであろう。
浦田 威